内田クレペリン検査は、「それって、ツベルクリン検査?」とよく間違えられますが、全く違うもので、性格や適性
を見る性格(心理)検査の一つです。
ところで皆さんは、自分の性格や適性をご存じですか
「自分はこんな性格だと思う」「自分の性格は自分が一番良く知っている」という思いはあると思いますが、案外、人から
「君ってこういうところがあるね」といわれた性格の方が、確かにそうだと納得した経験があると思います。
内田クレペリン検査はそのような「人からよく見られている性格、客観的な姿」が分かる性格検査なのです。
世の中には、色々な性格検査があります。大きなくくりで分けると、下の表のようになります。
検査の種類 | 代表的な検査 | 検査の内容 | 何が分かるのか | 判定について |
質問紙法 (性格検査と言われるもののほとんどがこれ) |
YG性格検査、TEG、主要五因子、etc. | 色々な質問に、「はい」「いいえ」「どちらでもない」などに答えていく。 | 現時点での自分自身の主観的な姿が分かる。今の自分を、自分自身がどのように感じているのか(思っているのか)を見ている検査。 | 点数化されているものが多いので、慣れてしまえば比較的簡単に判定が可能。 |
作業検査法 | 内田クレペリン検査 | 簡単な一桁の足し算を30分間(15分−休憩5分−15分)行う。 | その人らしい客観的な姿が分かる。本来持っている姿、本質的な姿といった素質的性格を見ている検査。 | 判定が難しく、講習会の受講、経験(年数、判定数)が必要。 |
投影法 | ロールシャッハテスト、バウムテスト、PFスタディ、etc. | 漠然とした絵や文章にどのような反応を示すのかを見ていく。 | いわゆる深層心理といった、人間の性格の奥深いところを見る検査。 | 判定がかなり難しく、心理学の勉強、臨床経験の豊富さなどが要求される。 |
内田クレペリン検査の用紙は、横に細長い紙で、各行115の数字が「サキ」と「アト」に各17行並んでいます。
用紙見本も掲載していますので、どうぞご覧下さい。
内田クレペリン検査の用紙見本
足し算をするだけの検査ですので、「作業の量(スピード)」や「エラーの数(正確さ)」を見ている検査だと思われがちです。
しかし、一番判定に必要なのが「曲線の型(作業を行った各行の最後の数字を線で結んだライン)」なのです。
「曲線の型」を見ながら、仕事の仕方のクセや動き方のクセの部分を判定していきます。
普段生活する上で、あまり意識していない部分の判定をしています。
(当社では、明るく活発なのか、口数少な目でおとなしく真面目なのかという人柄も判定しています)
内田クレペリン検査の判定は、基本的に下の表の@〜Hの組み合わせで行います(もちろん例外もあります)。
作業に対する取りかかりが・・・ @速い A適度(普通) B遅い 作業にムラが・・・ C多い D適度(普通) E少ない 粘り強さが・・・ F強い G適度(普通) Hない
例えば判定の結果は、下の表のように出てきます(仕事の仕方、動き方のクセだけの場合です。また、ここに載せている
のは、ほんの一部の例です)。判定結果打ち出しの詳細は、それぞれのページをご覧下さい。
Aさん | A・D・Gの組み合わせ |
テキパキと手早く捌く気迫はみられないが、作業にムラも少なく、着実、克明で恒常的である。何でも手際よくこなし、 えり好み・凝り過ぎもなく、状況に応じて適応的である。 |
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Bさん | @・D・Hの組み合わせ |
気乗り・取りかかりが速く即応的で、何でも気軽にさっさとやるが、辛抱強さ乏しく、長続きしない。軽はずみで、やっつ け仕事をしやすく、意気地なくへこたれやすいところがある。 |
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Cさん | B・E・Fの組み合わせ |
気乗り・取りかかりが遅く、物事の納得や了解には手間取るが、軌道に乗ると自分のペースを崩さず、粘り強くやれ る。几帳面でムラなくやれるが、柔軟性・融通性には乏しい。 |
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Dさん | A・C・Gの組み合わせ |
気配りがよく、感受性が鋭いが、気分や調子の波が大きい。勝ち気で意欲的な一面が出ていたかと思うと、急に沈み 込んで反応が鈍くなり、無為呆然となったりしやすい。 |
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Eさん | 例外の場合(エネルギー衰弱状態) |
物事を推進していこうとする気力や馬力が衰弱しており、頑張りが利かない。自発性や活動性が薄れており、受動的・ 不熱心になってしまう傾向がある。仕事やスポーツ、趣味などをやり過ぎた後の受験結果にもよく表れる。事故に繋が る場合もある。 |
検査結果には、本人の自己理解が出来ているかどうかや、検査に対する構えは影響しません。
(※構えとは、本人の希望的な姿、仕事や職種に対する希望的な姿などを言います)
ただし、心身のコンディションが悪い場合は結果に影響が出る場合もあります。
数年前、福岡県内のある大学で内田クレペリン検査とYG性格検査を実施し、検査結果を返したあと、数日後の自己分析
講座終了後に一人の学生さんとこのような会話を交わした事があります。
学生「先生、クレペリン検査とYG検査の結果のことでお話しがあるのですが・・・」 栗原「どのようなことでしょうか?」 学生「自分は、YG性格検査の結果は納得がいくのですが、内田クレペリン検査の結果は納得がいきません!」 (この時は、少し不満があり、抗議されるような口調でした) 栗原「そうですか。どのようにですか?」(少し驚きながら尋ねました) 学生「YG性格検査の結果は、私の性格そのものだと思います。しかし、内田クレペリン検査の結果は私の性格 ではないと思います」 栗原「なるほど。納得がいかないのですね?」 学生「はい。実は納得がいかなかったので、母にも見てもらいました」 栗原「お母さんの反応はどうでしたか?」 (実は、ここから学生さんの口調が少し穏やかになってきました) 学生「それが・・・私が思っていた反応と全然違っていたのでビックリしました!まず、始めにYG性格検査の結果 を見せて、『私の性格そのものでしょ』と言ったら、母は結果を見ながら『えっ!あんたそんな風に自分のこ とを思っていたの』と言われたのです。とても驚きました」 栗原「そうですか。それで、どうされました?」 学生「はい。それで、母に内田クレペリン検査の結果を見せました。『足し算をするだけで性格が出る検査もやった んだけど、この結果どう思う?私は、納得がいかないんだけども・・・」と言って結果を渡したら、結果をじっくり 眺めて母が言った言葉は、『あんたの性格そのものやない』という言葉でした」 栗原「そうでしたか。その返事についてどう思われましたか?」 学生「はい。最初はちょっとショックでしたが、母に普段の生活上での具体的な例を挙げられ、よくよく考えてみると 私の性格は内田クレペリン検査に出ている結果の方だと分かり、自己理解が不十分だったということが分か りました。自分で考えている自分の性格と、周りからみられている性格に差があることが分かったので、もっと しっかり自分を見つめ直す必要があると思いました。この検査結果は、これから就職活動をしていく上で、自分 の性格を見つめ直す為の大変貴重な資料になりました。講義後にお時間を頂き、ありがとうございました」 栗原「2つの性格検査の結果と、結果についてお話しをしたことが、あなたの就職活動に役に立てたのであれば大変 嬉しいことです。これからの就職活動も頑張って下さい」 |
実際に、これまでYG性格検査の結果と内田クレペリン検査の結果が食い違っている人は多くいなっかたようですが、
何人かからこのような質問(抗議?)を受けたことがあります。どちらの検査も、信頼度の高い素晴らしい検査ですが、
測定しているところが違うので、このようなことも起こりえます。
2つの検査結果を参考にしながら、就職活動の為に自分の姿を見つめ直した1つの例として出させて頂きました。
いかがでしょうか?簡単ではありますが、内田クレペリン検査を紹介させて頂きました。
自分の性格がよく分からず、就職活動に悩んでいる学生さん、転職を考えている社会人の方、今の職場
での適性に悩んでいる社会人の方などに、ぜひ受検をお薦めします。
自分の性格をしっかりと知った上で、仕事というものを考えてみて下さい。
ご一緒に、ご自分の適性について考えてみましょう。
ご理解とご協力のお願い
(注)内田クレペリン検査は、あくまでも性格の一部を見ている検査であって、その人の性格が全て分かる完全なもの
ではありません。また、このコーナーにも書いたとおり、心身のコンディションに影響を受けやすい検査です。
このことをご理解、ご承知の上、受験を希望されて下さい。
なお、検査を判定するにあたり、当社の都合で色々と制約もございますので、岡山県以西の方に限らせて頂きます。
受検方法、判定結果の詳細につきましては、
個人受検の場合・・・就職活動(個人)
学校関係の場合・・・就職活動(学校関係)
企業、官公庁、病院、施設関係の場合・・・採用・人事活動
のページをご覧下さい。
検査に対するご質問、詳細につきましては、ご連絡をいただけると助かります。よろしくお願いいたします。
※「内田クレペリン検査」は、(株)日本・精神技術研究所の商品です。
当社は、(株)日本・精神技術研究所の許可を頂いたうえで判定を行っています。